活用事例

LINEバイトの公式アカウント運用にみる最適なメッセージ配信とは

LINE株式会社 LINEバイトチーム 内山泰斗(写真右)
LINE株式会社 Data Labs 文堂可織(写真左)

ざっくりいうと

  • ユーザーが増えてきた頃から気になりだしたブロック数
  • 配信頻度別でブロック数を検証した結果、配信頻度を下げてもブロック数は減らず、従来通りの配信頻度が最適であることが判明
  • ユーザーの視点に立って最適な情報はどのようなものかを想像し、継続してメッセージ配信することが重要

LINE公式アカウントのメッセージ機能では、自社の公式アカウントを友だち追加したユーザーに向けて一斉にトーク画面へメッセージを送ることができ、メッセージが届くとユーザーにプッシュ通知されるため、開封率が高いのが特徴です。手軽にユーザーとコミュニケーションを取ることができる反面、簡単にユーザーからブロックされてしまうこともあり、マーケティング担当者にとっては課題の一つになっています。
今回は、「LINEバイト」におけるLINE公式アカウントの運用事例を取り上げ、LINEの法人向けアカウントからの最適なメッセージの送り方について考えていきます。

ユーザーが増えてきた頃に気になりだした「ブロック」の存在

「LINEバイト」は、全国約20万件のアルバイト求人情報をLINEアプリ上から手軽に閲覧・応募することが可能なアルバイト求人情報サービスです。LINE公式アカウントを活用してユーザーを獲得し、多くのユーザーをアカウント経由で応募までつなげているものの、ユーザー数が増えるにつれてブロック数が目立ち始めたことに、課題を感じるようになったといいます。

「LINEバイト公式アカウントを開設したばかりの頃と今では大きく課題が変わっています。立ち上げたばかりの頃は、まずは友だち数を増やさなければということで様々な新規友だち獲得のキャンペーンを実施しました。その頃はブロックされることをそこまで大きな課題として認識していませんでしたが、新規の友だち数の増加が鈍化した2017年頃から少しずつ課題感を感じるようになりました」

こう語るのはLINEバイト担当者の内山。友だちになってくれたユーザーに向けて一斉にメッセージを配信するたびに、一部のユーザーから配信して時間も経たないうちにブロックされてしまうそうです。

配信頻度別でのABテストを実施したところ予想外の結果が…

LINEバイト公式アカウントの事例と同様の悩みを抱えている企業はけっして少なくありません。企業によっては、メッセージを配信することでユーザーからのブロック数が増加してしまうことを避けるため、そもそものメッセージ配信数を抑えているケースもあります。
LINEバイトでもブロック数を増やさないためにメッセージの配信数を抑える施策案も出たそうですが、長期的な視点に立った場合、メッセージ配信数を抑えると本当に事業的にプラスの効果があるのか検証を行ったと内山は語ります。

「検証対象のユーザーをランダムに選別して、今までどおりの頻度で配信を行うユーザー群配信頻度を下げたユーザー群に分けました。その二つのグループを一週間ごとに追って、それぞれの応募数とブロック数がどう変化するかというABテストを実施しました」(内山)

その検証の結果について、文堂は予想に反する内容を明かします。

メッセージを今までどおりの頻度で配信するグループの方が、応募数が多かったです。しかしブロック数も増えており、長期的に見ると機会損失につながるのではないかと感じました。そこで検証データの一週間の応募確率とブロック確率の実測値を元に、今までどおりの頻度で配信したグループと配信頻度を下げたグループ、それぞれの一年後までの売り上げがどう変化するのかをシュミレーションしました。その結果、今までどおりの頻度で配信したグループの方が、求人閲覧数が多くなるという結論に達しました。当初はメッセージ配信を抑え、ブロック数を下げることによって長期的に有効な友だち数を貯め続け、総応募数の増加に寄与させたいという狙いがあったのですが、配信頻度を下げたグループは想定よりもブロック数が下がりませんでした」(文堂)

分析結果から、配信頻度を下げる施策は予想に反してブロック数が減らず、長期的な総応募数の増加にはつながらないと判断したといいます。売上最大化を目的とした配信頻度の最適化を考える際は、目の前のブロック数ではなく、ユーザーのコンバージョン数を考慮した長期的な視点を持つことがポイントのようです。

セグメント別にユーザーの行動を想像し、配信することが重要

では改めて考えてみたいのが、なぜメッセージを送るたびにブロックされてしまうのかという点です。今回の「LINEバイト」での検証結果から、投稿頻度よりも、ユーザーの生活サイクルから逆算してメッセージの内容や配信時間を考えられているかどうかが重要になりそうです。

「ブロックされるのは、単にメッセージが鬱陶しいと思われているからでも、そのアカウントが嫌われているからでもありません。ユーザーごとに適切で有益な情報を届けることが出来ていないからだと考えました。ユーザーは自分にとって不必要だと感じた情報には見向きもしません。自分たちが伝えたいことを一方的に押し付けがましく伝えるのではなく、ユーザーのセグメントごとに最適な情報はどのようなものか想像し、配信することが大事です」(内山)

なお、「LINEバイト」のユーザー属性については、主婦や学生のユーザーが多いことがわかっています。

(参考:LINEバイト、サービス開始3周年を迎え、新たにユーザー属性を公開

「主婦層の方であれば19時台などの一番忙しくなりそうな時間帯を避けて配信、また内容も主婦層向けの表現などで最適化しています。また学生のケースだと、アンケートやインタビューの結果から最も求職欲が高まるのが新学期の3, 4月だと分かり、その時期に集中してメッセージを送るなどの工夫を行いました」(内山)

ユーザーがどのタイミングで、どんな情報を求めているのかを把握するため、ユーザーのヒアリングやリサーチの役割はますます必要不可欠になりそうです。

継続的な配信が、より良いメッセージ配信を見出すカギに

今回の「LINEバイト」での検証から、配信頻度を抑えるという施策はブロック数をある程度減らすことはできたものの、事業全体、また長期的なアカウント運用においてはメリットが予想と異なり小さいことが明らかになりました。
さらに、短期的なコンバージョン数を考慮するだけでなく、ブロックとコンバージョン数の両方を考慮した長期的な視点を持つことが重要だと分かっています。

友だちになってくれたユーザーからブロックされてしまうことは悲しいことですし、なるべく避けたいところ。だからといってすぐに配信数を減らすよりも、ユーザーの生活サイクルを想像し、それにあわせた配信時間、配信内容でメッセージを配信していくことが大事です。PDCAを繰り返すことで、ブロックされにくいメッセージ配信とはどのようなものかが見えてきます。配信頻度を抑えてしまうと、改善につなげられる数字も得られませんし、より良いメッセージ配信を見出すためには継続的な配信が必要です。

ユーザーと良好な友だち関係を作っていくために、ぜひ一度、配信計画を見直してみてはいかがでしょうか。

参考

(文・写真=大木 一真)

RELATED ARTICLE 関連する記事

ブログ一覧に戻る